敷金の返還トラブルを避けるために
- 2019/4/10
- 敷金・礼金
敷金とは、賃貸で住んでいる最中に、家主に対して弁済しなければならないものを、カバーするための保証金のようなもので、本来は未払い賃料や原状回復費用など、借主が負うべき債務を担保する目的で設定されるものです。その敷金は退去するときに、債務を差し引いた分を返還してもらうのですが、なかなか返してもらえないケースもあるようです。
■敷引き特約はどこまで有効?
敷引き特約とは、賃貸借契約終了時にあらかじめ、敷金の一定額を返還しない旨の条項をいいます。例えば、敷金20万円のうち10万円は返還しないものとし、残金10万円から原状回復等を控除し、残金を返還する。という内容を契約時に締結することが「敷引き特約」の内容なのですが、その特約通りに貸主は10万円を借主に返さなくても良いのかという話しになります。
平成23年3月24日に最高裁判所で、敷引き特約を有効とする判決が出たのですが、
◎経過年数に応じて2倍弱ないし3.5倍強にとどまっていること
◎契約が更新される場合に1ヶ月分の賃料相当の更新料の支払い義務を負う他には、礼金等他の一時金を支払う義務を負っていない
◎敷引きの額が高すぎると評価することはできず、本件契約が消費者契約法10条により無効であるということはできない
と判断されました。
しかし、敷引き特約が全て有効になるのかというと、そうでもなく、
◎賃貸借契約における敷引き特約も一応有効であるが、建物の通常損耗の補修費用として一般的に想定される額や賃料の額、礼金授受の有無や金額等に照らして、敷引き額が高額すぎる場合には、基本的に消費者契約法10条によって無効になる
とも判断しています。
このようなことから、敷引き特約により一方的に敷金を全額返金しない、などとすることは認められないことにもなりますが、「消費者契約法10条」に敷引き特約の内容が引っかかるかという問題のようです。
■原状回復義務でのトラブル
原状回復義務で、敷金の返還をめぐるトラブルも、よく耳にすることでしょう。敷金の取り扱い等に疑問を感じたとき、自分でも取り組めることもあります。
まずは、見積書の内訳チェックをすることです。そこで参考にするのは、国交省や東京都が出している原状回復のガイドラインです。例えば、カーペットについた家具の跡やへこみは家主負担など、お部屋の状況別に、家主負担になるのか、借主負担になるのかが細かく示されています。それを基に交渉することがトラブルを避けるベストな方法でしょう。
■まとめ
よくトラブルになるのが、入居の際に交わした契約書の内容で「特約条項」が記載されている場合です。当事者間の合意である契約は重い意味を持ちますが、消費者契約法に基づき、一方的に借主が不利になる場合には特約も無効になることもあります。これから退去をされる方は、今一度、契約書類に目を通し、特約の内容なども把握しておくことをお勧めします。
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