- 2017/9/15
- ライフスタイル
平成27年に相続税の内容が改定になり、相続税の対象者が増えたことで、相続の話題を良く耳にするようになりました。しかし、“相続でもめている事案の4件に3件が相続税のかからないケース”というデータもあります。分けにくい資産『実家』が相続をこじらせる原因についてお話しましょう。
■兄弟が同じ権利を主張してもめるケース
Aさんは夫を4年前に亡くし、評価額1200万円の自宅、貯金300万円を相続しました。
子どもは、長男、次男の2人。それぞれが家庭をもっていますが、母親Aさんがひとまずすべてを譲り受けることで了承しました。
程なくして、Aさんの体調に不安が出てきたので、次男の妻が通院の付き添いや、身の回りの世話をしていました。年金などでやりくりしながら、貯金を減らすこと無くAさんが亡くなりました。
相続税のかからない合計1500万円の相続です。
慣例的に長男が実家を継ぎ、貯金300万円を次男に渡したいと考える長男に対し、法定相続分では750万円ずつ分けることになるという「遺留分」を次男が主張しました。
長男が1200万円の実家を相続し、750万円を次男に渡す「代償分割」の提案です。
一般のサラリーマンが、合計700万円を用意するなど簡単なものではありません。
■『実家』をどのように相続するか
実家の評価額と同じだけの額の貯金があれば長男、次男で資産を1/2ずつ相続しやすいのですが、うまくいかない場合も多いのです。
実家を売らずに分割するには、「代償分割」以外で考えられるのは…
・現物分割(文筆など土地家屋そのものを分割する)
・共有分割(共同名義で登記する)
しかし、現物分割では母屋と離れがあるような場合を除いて簡単ではありませんし、共有分割では、賃貸契約も売買契約も、共有者全員の承諾が必要になり、手続きが煩雑になります。
資産家の場合には相続に対する意識も高く、遺言を残していることがほとんどです。
それに対して、相続税に関係がない家庭では、持ち家の評価によって、法定相続分から「遺留分」が発生することへの準備をしていないケースが多く、もめる原因となりやすいのです。
■『換価分割』を視野にいれてすっきりさせる
実家を所有し続けるかどうかの判断がポイントになりますが、もし、相続でもめるくらいなら、『換価分割=売却して現金化して分ける』方法を検討したほうが良いでしょう。
亡くなる前に売却して現金で相続するか、亡くなったあと、いったん代表者名義で登記して売却する方法が考えられます。
実家の相続をどのようにしたら良いのか、日頃から、家族間で話し合っておくことが必要です。